俺だけレベルアップな件第76話~第88話
悪魔の城ダンジョン後半編
第76話
水篠が待ち合わせ場所に到着する。諸菱から、父親と話した内容を聞かされる。諸菱ギルドのマスターになるためには、水篠の勧誘が必要だが、諸菱は水篠にすべてをゆだねることにする。水篠は・・・。
一方、ハンタースギルドの事務所では、外園がA級ダンジョンの報告を最上にする。最上は自分と水篠どちらが強いかたずねる。外園は、A級でも高レベルなダンジョンを一人でクリアできるかたずね返す。最上はできないと答える。それほど、水篠の戦力は常軌を逸していたのであった。
翌日、ハンター協会の前には、報道陣が詰めかけていた。芸能人として知名度の高い友谷が審査を受けるのだ。そこに白川と最上が到着する。記者たちに質問攻めにあうが2人とも別件できたと答える。準備ができたので、友谷が車から降り、記者たちに手を振る。
第77話
水篠が記者をかき分け、ハンター協会入り口を目指す。途中、友谷の関係者に止められる。困っているところに後藤が現れる。後藤が水篠を案内する。報道陣の関心が水篠に移る。さらに、ハンター協会に入ろうとする友谷を犬飼たち監視課が制止する。友谷はせっかくの晴れ舞台を邪魔されてご機嫌斜めになる。さらにハンター協会のスポンサーである諸菱建設の副社長の息子だと脅しにかかるが、犬飼の迫力に負け、おとなしくなる。
協会内には、先に到着していた白川と最上が深々と頭を下げ、水篠の到着を待っていた。ハンターの系統確認のため、後藤の前で能力の一部を見せる水篠。イグリットをはじめとした上位の影の兵士を召喚すると、部屋の外にいた白川と最上にもその強大な魔力を察知する。
白川たちに呼び止められるが、S級ハンター証を受け取り、その場を後にしようとする水篠。教会の外に出ると、報道陣のフラッシュが水篠を照らす。その光景に驚く水篠であった。
第78話
水篠が出る少し前、友谷が協会前で演説をしている。すでにランクもわかっている上、ギルドに所属しても前線ではなく広報活動をするだけなのに、わざとらしくハンターとしての職務を全うするなど、聞こえのいいことを話す。しかし、演説の途中、日本で10人目のS級ハンター誕生の知らせが報道陣に入る。もう誰も友谷を見ていない。水篠が外に出てくる。採掘チームや観月、馬淵もその報道を見ている。
一方諸菱は、父親に水篠の作るギルドの副マスターになることを選択したことを伝える。父親はギルドを作りたかった目的を話す。どうやら金儲けではなく、一国家の武力に相当するハンターから自分たちを守るために人間的に信じられる仲間を作りたかったと。すでにそれを手にした諸菱は合格をもらい、諸菱ギルドを任せてもらえることになるが、諸菱は水篠の作るギルドに入ると父親に話す。
水篠は、報道陣から逃げるためにその場から逃げる。その素早い動きに白川は、すでに自分たちよりも強い存在になっていること、持続的に成長可能なハンターなのではと感じるのであった。
第79話
アメリカにいる右京は水篠が生きていることをニュースで知る。
水篠は、炎の熱気から身を守るアイテムを探しにハンター専用のアイテムが売っている店にやってくる。炎系に耐性があるアイテムはネットでは出回らないが、簡単に手に入るらしい。
白川は、水篠の強さを肌で感じ、水篠が自分でギルドを作るだろうと推測し、勧誘自体が無意味だったと骨理損だったとなげく。しかし、宍戸はまだあきらめていなかった。マスコミも常に水篠の家を狙っている。家のドアを叩く音がし、報道陣が来たのかと思い、水篠がドアを開け文句を言おうとすると、そこには、泣いている諸菱が立っていた。どうやら父親に追い出されたらしい。話も聞かずドアを閉める水篠であった。
諸菱の父親が身支度を整えている最中、急にその場に倒れる。
第80話
夜、自分がいないときに妹が狙われる可能性を考え、カルガルガンの側近だったハイオーク1体と別の2体を護衛として、妹の影に忍び込ませる。さらに治安対策として街に影の兵士を数体放つ水篠。
翌日、水篠は、三度目の悪魔の城ダンジョン潜入をする。炎対策の防具を身にまとい、76階からダンジョンの攻略を進める。キバに「貪欲な玉」を持たせる。その魔法の威力はすさまじく数百m先の建物や悪魔を一瞬で焼き尽くす。
諸菱の父親は病院で目が覚めた。丸二日間眠っていたようだ。水篠の母親と同じ「溺睡症」にかかった。この病は、魔力体制の低さが原因のようで、近くに強い魔力を持つハンターなどがいるとなりやすいとのことだ。諸菱の父親は病気に負けまいと心を強く持つ。
そのころ、DFNのとある島では、羽のついたアリが生きて上陸に成功していた。
第81話
DFNのとある島。ハンターが島を巡回中、羽のついたアリに遭遇する。
一方悪魔の城ダンジョンでは、戦いの効率を上げるために、舞台を6つに編成する水篠。この方法では、悪魔から手に入るアイテムの回収ができなくなるが、早く最上階を目指したい水篠はそれをあきらめる。この戦い方でも経験値は入るので、数日で水篠をはじめ影の兵士もレベルが上がっていた。
80階に来て2日が過ぎたころ、異変が起きる。急激にマナが減ったのであった。誰かが攻撃を受けている。アイアン班だけでなくイグリットやハイオークの班までやられている。しかし、キバの班だけは襲撃を受けていない。相手の技量を見分けられる敵に手ごわさを感じる水篠。次に狙われるのはタンクの班と予想し、水篠は身をひそめる。敵はすぐ現れた。悪魔の貴族とナイト3体。タンクたちは一撃で倒されていく。水篠が戦う。悪魔のナイトたちは、逆に一瞬で倒される。あとは悪魔の貴族だけ。悪魔の貴族は恐怖に震えている。水篠が攻撃を仕掛ける。
第82話
ダンジョンの中の悪魔をランク付けすると、下級悪魔がC級、中級悪魔がB級、上級悪魔がB級、最上級悪魔がA級、高位悪魔・悪魔のナイトがA+級、悪魔の貴族・中間のボスがS級となっている。
水篠が悪魔の貴族をとらえる。倒そうと短剣を振りかざしたその時、悪魔の貴族が降参を宣言する。人間の言葉を話せることにも驚きだが、声の正体は、女だったのだ。
悪魔を狩る敵に対して、フロアを守るために仕方なくやったことだと弁明する。水篠が人間型の悪魔に戦意をなくしているすきをついて、再度攻撃を仕掛ける悪魔の貴族だが、キバの守護魔法で防がれる。再度命乞いをする。その行動にあきれる水篠。ここからは許可書をフロアを管理している悪魔の貴族が持っているらしい。自分と自分の一族の命の保障と引き換えに許可書の在処まで案内することを提案し、水篠もそれを承諾する。
DFNのとある島では、アリが人々を襲っている。
悪魔の貴族は、ラディール家のエシルと名乗った。水篠はエシルに人間を殺せと言う声が聞こえるかたずねる。エシルは今いる場所を守れと、別の声なら聞こえると答える。その声はここに来た時から聞こえるようだ。エシルはもともと魔界にいたが、気づいたらここにいたそうだ。さらに魔界では戦争の準備をしていたと話す。
第83話
エシルは、悪魔たちを全員集めないといけないくらい強い敵との戦争が起きそうな状況だと話した後、「許可された情報量をオーバーしたため会話を遮断します」と繰り返す。バルカの時と同じような反応をするエシル。水篠がさらに質問を続けると、エシルの脳内にノイズが走り気を失う。
ハンターたちがアリと交戦中だ。アリは的確に弱いハンターから狙い、次にヒーラーを倒していく。明らかに戦力を削っていっている。ハンターたちは、アリに知能があるのではと感じ始める。なんとかアリを駆除することができた。
日本のハンター協会では、この映像を見ながら、会議をしている。どうやらアリは、最初に発見された島民を捕食し終えたため、別の島に渡っていたようだ。アリを倒したのはあとから合流したA級ハンター。つまり、アリはA級以上のハンターと同格ということだ。DFNは東アジアに位置する国である。その国に架南島はある。架南島から150km離れた島が被害を受けたため、日本に来るのも時間の問題だ。対応に苦慮する後藤。犬飼が後藤にスカベンジャーギルドの右京が架南島レイドに協力すると申し入れがあった。とにかく水篠にあう口実がほしいようだ。しかし、犬飼が白川との衝突を理由に入国を拒否すると伝えているため、右京と水篠の衝突は避けられそうだ。
エシルが目を覚まし、水篠を城に案内する。エシルの父親は水篠を見て、無数の影の兵士の存在に気づき怯える。貴族の序列でも底辺に位置するラディール家では、ヴォルガンやメトゥスを倒した水篠を倒せないと判断し、降参することにする。
第84話
許可書とエシルの道案内だけということで、父親の許可が下りる。水篠がエシルの肩を抱き寄せて、エシルを借りていくと言ったため、若干話がもつれたようだ。エシルの同行に伴い、パーティーシステムが発動する。どうやらパーティーになると、移動魔法陣をいっしょに使えたり、経験値を貢献度に応じて分け与えることができるらしい。経験値が減るため、エシルには戦闘に参加しないように話すが、何か勘違いをし、頬を赤くするエシル。
81階に到着し、次の貴族の城を目指す。エシルの父親が交渉が円滑に進むようにと、それぞれの貴族の好物をエシルに持たせていた。貴族同士は序列争いをしているため、そこまで親交が深くない。その話を聞いて水篠は、エシルを置いて城に潜入するのであった。
日本のハンター協会では、後藤がアメリカからきた国家権力級の男と会談している。この男は、右京を日本に入国させないようお願いに来たのだが、すでにその方向で動いているため安心してその場を後にした。忙しいからと架南島レイドには参加しないことを去り際に言われ、後藤は、淡い期待をしていたのだが、その期待も打ち砕かれてしまい、途方に暮れる。犬飼がDFNの協力を得られるようになったと後藤に話す。夜には、DFNの巨大ギルドのハンターが来日することになった。
悪魔の城ダンジョンではすでに89階まで水篠たちが進行していた。影の兵士もランクが上がり、イグリットはS級レベル。タンクはA級の上位にまでなっている。90階からは、貴族のレベルも上がるから交渉をした方がいいのではと、助言するエシル。水篠はエシルに自分が弱かったら交渉に応じたかたずねる。弱い方が狩られるということを水篠は言いたかったようだ。エシルが自分の一族を生かしてくれているのはなぜかたずねる。水篠はエシルを気に入ったからだと答える。水篠的には諸菱やエシルのようなねじが1本抜けているタイプと相性がいいと思っているが、エシルは自分に好意があるのではとさらに勘違いをしてしまう。
第85話
90階からは、格段に敵が強くなっているが、97階まで到達する。水篠はエシルにここまででいいと話をするが、エシルは最後までお供すると引かない。水篠はそれを了承する。
空港にリューが到着する。劉志剛に匹敵するアジア唯一のハンターでアジアでも2番目に大きい抜剣ギルドのギルドマスターだ。通訳を介し話をする。リューは日本のアリ討伐に国をあげて全面協力すると伝える。そのためトップクラスのハンターで連合攻撃隊を作ることを提案する。アリの寿命は1年。そのため、女王アリを討伐すれば自然消滅することになる。作戦は、リューを含めたギルドのS級ハンターが巣からアリをおびき出しているすきに、日本のハンターで女王アリを討伐するというものだ。リューはS級ダンジョンを攻略し、国家権力級の称号を得ようとしている。国家権力級の誕生自体が国益につながるので、今回の作戦をどうしても成功させたい。現在S級ハンターが8人しかいいない日本には選択肢がない。そのため、この申し入れを承諾する後藤であった。
水篠はとうとう100階に到達する。悪魔王バラン、とてつもないオーラを発している。
第86話
エシルは、悪魔王バランを初めて見る。そのオーラに全身が震える。
バランは飛竜に乗っているため、空に逃げられると厄介だ。自身もとてつもないオーラを放っているうえに、千を超えるA級上位クラス以上の悪魔たちを召喚する。水篠も影の兵士を召喚し応戦する。バラン自身も戦う。広域魔法でスタン効果のある雷を放つ。影の兵士が倒されていく。マナが底を尽きる前に飛竜を倒したい水篠は建物を利用して上空にいる飛竜を攻撃するが、バランに大剣で防がれ、地面に飛ばされる。さらに雷を放つ。しかし、キバの魔法が雷をはじく。その上、飛龍の片翼を負傷させる。やっとバランが地上に降りてきた。ここから水篠の本当の戦いが始まる。。
第87話
バランはアイアンやイグリット一撃で仕留めていく。長期戦になるとマナが枯渇し劣勢になるため、決着を急ぐ水篠。バランとの激しい攻防が続く。バランは幾度となく雷を放つ。二刀流での攻撃に加え魔法を使われるので、防戦一方の水篠。そのとき、エシルが投げた剣がバランにあたる。ダメージは皆無だが、一瞬気がそれる。そのすきを見逃さず、スキル:支配者の手を使い、両腕をねじ切る水篠。さらに力を込めた拳を振り上げる。水篠の一撃でバランの頭部は粉砕される。今回は、ぎりぎりの戦いとなったが辛くも最上階のボスを倒す水篠であった。
第88話
報酬を集める影の兵士。バランを倒したことでたくさんの戦利品を手に入れた。しかし、水篠の一番の目的は「命の神水」の材料となる「浄化された悪魔王の血」である。これで、母親を治せる可能性を持った薬が作れる。早速、制作をはじめる。なんと6個も作ることができた。さらに、アイアンが持ってきた飛竜の死骸から影を抽出することに成功する。飛竜に「カイセル」と名付ける。クエスト報酬では、スキル:影の交換という自分の影と自身の位置を入れ替えられるスキルを手に入れる。
すぐにでも母親のところへ行きたい水篠は、街の治安維持に放っておいた影の兵士と自身の場所を入れ替える。そして、カイセルに乗り病院へと向かう。